【推薦図書2】「戦国期知多半島の豪族と禅宗菩提寺」

「戦国期知多半島の豪族と禅宗菩提寺」
e0144936_18254789.jpg 2008年8月9日「第一回 水野氏史研究会 連絡会」懇親会会場で懇談させていただいた、織豊期研究会々員で、名古屋大学特任准教授・斎藤夏来先生から、2005年9月に上梓された『戦国期知多半島の豪族と禅宗菩提寺』に、「小河水野氏」のことを書いておられると教えていただきましたので、遅ればせながら会員各位にご紹介いたします。
 本著は日本福祉大学知多半島総合研究所/編 新刊『知多半島の歴史と現在 No.13』に収録されております。(執筆当時は日本福祉大学非常勤講師)
 題名にある知多半島の豪族とは、水野氏と佐治氏であり、それぞれの菩提寺である禅寺に焦点を当てた「小河水野氏の史料」として、誠に興味深い論考であります。
 会員各位にはぜひご精読をお勧めします。 (研究会事務局)

update 2010.04.01
斎藤夏来先生は、2010年度から、岡山大学教育学部 社会科教育 日本史学の准教授に着任されました。



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『知多半島の歴史と現在』 No.13
編者:日本福祉大学知多半島総合研究所
発行所 : 校倉書房 
発行年月 : 2005.9
  サイズ : 21cm / 241p
  ISBN : 4-7517-9013-7
  価格 : ¥3,150(税込)

[歴史・民俗]
「戦国期知多半島の豪族と禅宗菩提寺」斎藤夏来/著
<目次>
はじめに
1 水野氏の台頭と地域寺院
2 水野氏の先祖「神話」と乾坤院
3 佐治氏の先祖「縁起」と斉年寺
おわりに


<内容>
●本書「おわりに」から抜粋
 「本稿では、知多半島地域史の重要なてがかりとしてすでによく知られている「水野先祖御判物写」『万松寺斉年寺縁起』などの諸史料が、いずれも地域の新興勢力である禅宗寺院の開基檀越の由来を語る「神話」ないし「縁起」として伝来している事実にあらためて注意を喚起した。そのうえで、これらの記述内容について指摘されている「作為性」は、見方をかえれば、現在の地域史研究の水準でも完全に否定することは難しい、ある意味では地域の歴史の焦点を鋭くついた教養の所産であることをみた。このような禅宗寺院周辺の教養が、当地域の新興勢力であった水野氏や佐治氏をひきつけ、彼らの禅宗受容、すなわち禅宗系菩提寺の創建を促したものではないかと考えてみた。[後略]」


<著者略歴>
『禅宗官寺制度の研究』から抜粋編集
1969年 福井県に生まれ愛知県に育つ
1993年 東京大学文学部第二類(史学科)国史学専修課程修了
1999年 名古屋大学大学院文学研究科博士課程史学地理学専攻単位取得退学
2001年 博士(歴史学)
 日本学術振興会特別研究員
 日本福祉大学情報社会科学部非常勤講師
 愛知県立大学文学部非常勤講師
 名古屋大学特任准教授(付属図書館研究開発室)
2010年 岡山大学教育学部 社会科教育 日本史学 准教授

[著書]
・『禅宗官寺制度の研究』 吉川弘文館 2003年
・「織豊期の公帖発給権――五山法度第四条の背景と機能――」
  『織豊期の政治構造』 編者 三鬼清一郎 吉川弘文館 2000年 第一部 権力構造論

[主要論文]
・「禅宗十方住持制の再検討」(『禅文化研究所紀要』26、2002年)
・「戦国期知多半島の五山文学受容―『鏤水集』の検討を中心に―」(『年報中世史研究』 29、 2004年)
・「秀吉の画像賛」(『禅学研究』86、2008年)
・「家康の神格化と画像」(『日本史研究』545、2008年)


<書評>
☆著者の禅宗についての史料考証の確かさについては述べるまでもないが、関連する16の論考、30数点にも及ぶ史料考証をもとに、小河水野氏の菩提寺である宇宙山乾坤院(愛知県東浦町)との関わりについて、宗教と水野氏という興味深いテーマを取り上げている。史料の多用さにも感心するが、緻密でありながらも整然とした読みやすい文体には、著者の高才の一端がうかがわれ感服する。このような素晴らしい研究に心から敬意を表したい。
なお、本著には記載されていないが、永享九年(1437)生まれで、小河水野の祖ともいえる水野貞守は、水野郷(愛知県瀬戸市)において仏道に帰依し、同郷の感應寺に香華堂を建立したと記録にあるそうである。したがって水野貞守が寄進し川僧慧済により開山した宇宙山乾坤院の建立以前に、既に水野氏と宗教との関わりがあったことになる。――水野青鷺
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by mizuno_clan | 2008-09-12 18:34 | 推薦図書